スポーツの魅力について


 福田柔道クラブ(旧称) は、地域住民の熱い要望により、創部(S51)から26年(H13)が経ち ました。クラブのモットーは、武道としての「礼節」を重んじ、ことば遣いやあ いさつを基本精神として指導しています。会員は幼児から小・中・高・社会人と 幅広く、76名の大所帯で活動しています。福田町民だけでなく、近隣の市・町か らも10数名通ってきています。最近では家族ぐるみで入会される方もいらっしゃ るので、とてもよい雰囲気です。

 また、柔道の魅力は『柔能く剛を制す』といって、小さい者でも大きな者を投 げることのできる競技です。しかし、相手を負かす、ねじ伏せても勝という自己 満足が目的ではありません。大が小を投げるのではなく、小が大に対して、自分 を生かすための力の使い方に創意工夫をして練習する、考える力と克己心を養っ てくれるということです。

 私たちにとって「勝つ」とはいったい何なのでしょうか?私はこう考えていま す。勝ちたいという人間の遺伝子の欲求の本当の意味を、今こそスポーツの中で 知る必要があります。すなわち、「勝つ」とは「自分らしく、日々の稽古をはじ め本番でもいかなる時にも自分らしさが発揮され、自分の本当にふさわしい結果 を得ること。そして、その過程で自分の成長が起こること」。この勝利感こそ、 すべての人が本当に求めている「勝つ」、いわゆる克己ということなのだろうと 思っています。これこそ人間のみが求める勝利でしょうし、これにこそ遺伝子は 満足するのではないでしょうか?だから負けるとわかっていても、負ける可能性 があっても、この「克つ」を人間は求め、全精力を投球できるのだと思います。 「勝つため」に努力している中で負けることがある。そのことで免疫が得られる のです。社会に出たら、このような挫折や悔しさが生きてくるのではないでしょ うか。勝敗という結果はなくなりますが、己に克つ何かを学んだことはしっかり と心に残るのです。

 武道(柔道)こそ、「人間にとって勝つ(克つ)こととは何か」を私たちに教 えてくれるものはないと思っています。それは、人間的成長なくして勝ちはなし というような精神が昔から存在しているからでしょう。



平成14年元旦          
福田柔道クラブ 師範 西島温行

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