祭神考 その一




 この天神様(矢奈比売命)は、もと山の中にご降臨になった、出現になったのではないかという想定があったかも知れません。
 <本宮>という考えは、例えば私はこの間、一ノ宮(小国神社、以下同じ)の本宮といわれている本宮山、それに三河の国の砥鹿神社の本宮山というようなところを回って参りました。それから『神社新報』に出ていたと思いますが、引佐郡の渭伊神社というお宮があるのだそうです。これは井伊谷宮の裏の方です。今は立派なお宮だそうですが、後ろの方に大きな岩があって、そこで昔の神様の拠り所としてお祭された形跡があるのではないかということです。*2
 しかし、そういうかたちのものと天神様(矢奈比売命)とは、大変形が異なっております。磐田原台地がまだ全体が植林されていない原始林で覆われていた時代に、鬱蒼たる山全体が一つの<山ノ神>という形で信仰されていた。それがどうも矢奈比売様のもとになっているという感じがしているわけです。矢奈比売様を<山ノ神>と説明しないで、お話しておりますが、お山を「一つの神様のお住まい所」というような考えから始まっているというように考えております。


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