遠江舞車 ■平成十三年八月五日
旅路はるかに見附宿、 恋路ゆかしき舞車
 季節は移ろい、真夏の太陽が容赦なく照り返す頃、おそのは再び奉公の為江戸への旅をしていた。必死の看病の甲斐もなく他界した母親の冥福を祈って、見附宿地蔵めぐりをしたいと考えていた。それに、何よりもあの若者にもう一度会いたいと思っていた。見附宿は忘れられない所、そうだ、幸せになれるという見附宿七福神めぐりもしよう、そのため、二三日滞在して行こうと心に決めていた。
 旅篭の主人が言うのに、明後日は祇園祭り。故事によれば、親に引き裂かれお互いに探しあっていた男女が、東西の舞車に乗って巡り会ったとか。おそのは、多少心得のある舞を旅篭の一部屋に篭って稽古していた。
 一方、若者もおそののことが頭に焼きついていた。上方への仕事を引き受けて街道を上って来たのも、ひょっとして上方で会えるかも知れないと思ってのこと。そして、見附宿で祇園祭の舞車に乗ることを承諾することになった。
 祭りは、昼間から陣太鼓を打って、賑やかに始った。富くじ大会などもの珍しい催しがあった。
 その夜、舞車は久し振りに盛り上がりを見せた。東西の車が近づいた時、再会に驚いて一瞬舞が途絶え、その後二人は見事に舞ったから。
 翌日、朝市で賑わう見附の通りで、なごりを惜しむ男女がいた。しかし、今度こそ二人はしっかりと再会を約束していた。
責任者鈴木康元
実施日時平成13年8月5日(日)16:00〜21:00
雨天の場合:8月11日(土)
場所見付宿場通り
内容能「舞車」にちなみ東西から男女の舞い手が進み、淡海国玉神社前で「出会い」の舞台を作る。
舞台周りに篝火を焚き、幽玄の世界へいざないたい。
また、これとは別に、老若男女誰もが参加できる踊りに時間を設定。民謡、サンバ、サルサ等を楽しんで頂く。
この夜、見付宿場通りはあらゆる踊りの大ステージとなる。
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