マルチメディアとインド古典音楽


 インドで連想するものはと質問をします。返ってくる答えは飢餓、カースト制など悲惨なイメージのものは既に少なく、ここ最近は、ガネーシャ、ターバン、ガンジス河の沐浴から、都市部の土地の高騰、バンガロールのコンピューター等様々です。インターネット等を利用すればさらに新しい生の情報を瞬時にして得ることができます。私達はこの様な情報化社会を大いに歓迎し、それにより日本とインドの交流が拡がり、深まることを期待しています。

 ここで、情報化社会について少し考えてみたいと思います。そのキーワードは「オン・デマンド」、つまり知りたいときに知りたい情報を知りたい形で得ることに他なりません。コンピューターが伝える情報は文字、音声、リアルタイムの動画ととどまるところを知らず、正に日進月歩の勢いで技術開発が続いています。しかし、気をつけなければいけないのは、これらコンピューターによるマルチメディア情報が全てだと錯覚してしまうことです。それはあくまで情報の一部に過ぎません。フェース・トゥー・フェースでしか手に入らない情報、時間をかけなければできないもの、空間を共有しないと感じられないものは確かに存在しているのです。私達は情報化社会を歓迎するからこそ、それらのものを認識し、大切にしていかなければならないと考えています。

 さて、前置きが長くなりましたが、今回の企画はインド古典音楽を日本の皆様に生でお届けすることに意義を置いています。実は、インド音楽と日本の童歌などには数多くの共通点があるのですが、正に、空間を共有することによりそのことを感じて頂けるかもしれません。勿論それは強要するものではなく、ただじっと異文化の響きに、悠久のリズムに身を任せるだけでいいのです。

 この公演は過去にも何回か実施され好評を博しましたが、今回もインド大使館の御協力や、演奏者で世界的に活躍しているアミット・ロイ氏、中川博志氏らの熱意によりさらに充実した内容になりました。

 是非とも今企画を成功させたいとスタッフ一同、日々準備にいそしんでおります。皆様の街でお会いできる日を楽しみにしております。


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